歳を重ねても、夫婦仲良くできているだろうか?
昨日、買い物にでかけた。
ショッピングセンターで、目的のない買い物だ。
年末年始のバタバタした、必要に迫られて行く買い物とは違う。
本や服、雑貨など、行きたい店で見たいものをゆっくり見ることができた。
気がつくと、夕食時になっていた。
帰って夕食を準備するのも大変だからと、食べていくことになった。
定食を食べようと思い、大戸屋に入った。
入ったときは、ご飯時には早かったこともあり、客はまばらだった。
店の奥は、客のいないテーブルばかりだったので、そのうちのひとつを選んで席に着いた。
注文が終わり、ゆっくりしていると、隣のテーブルに老夫婦が来た。
その時は、老夫婦が来たな、と思っただけだった。
しばらくの間、その老夫婦は、私の関心の外にあった。
ふと彼らの方を見ると、メニューをテーブルに広げて、ふたりでワイワイしゃべりあっている。
あまり聞き耳を立てるのも悪いな、と思ったが、その時は、彼らの会話に耳を澄ましてみた。
普段は、このようなことはあまりしないのだが、この時は、なぜか気になったのだとお思う。
彼らの会話は、実に他愛もないことだった。
「どのメニューにしようかな」
「これがいいんじゃない?」
といった会話の繰り返しだった。
彼らは、それぞれのメニューを、ふたりで一緒に決めようとしているのだった。
彼らのことが気になったのは、おそらく、そのセリフ自体ではなかったのだと思う。
ふたりとも、すごく楽しそうな表情をしていたので、そのことが気になったのだと思う。
これほど楽しそうに食べるメニューを決めようとしている夫婦というのは、私の記憶にはなかった。
このようなシチュエーションでよく見かける、にぎやかなグループというと、子供連れの家族で子供が騒いでいるパターンや、仲のいい友達同士でワイワイしているパターンが多い気がする。
子供連れの家族でも、夫婦の間で会話が弾んでいる、というのはあまり見ない気がする。
逆に、若いカップルの場合、席に着くと、店を出るまでの間の会話といえば、注文する時だけで、あとはスマホを見ているだけ、なんてケースも目にしたりする。
だから、夫婦、それも老夫婦がふたりだけで食事に来て、楽しそうに会話をしているのが、私には意外に感じて気になったのかもしれない。
長年、一緒に生活をしていても仲がいい夫婦は大勢いるだろう。
しかし、お互いの食事をふたりで一緒に、楽しそうにしゃべりながら選ぶ、というのは、そう多くはないんじゃないかな、と思った。
相手の食事を選ぶには、相手のその日の体調や、普段の好みを分かっていないと、できることではないと思うからだ。
そのうえで、相手のことを気遣う気持ちも必要だろう。
ふたりとも、そうであるからこそ、食事を選ぶこと自体を楽しめるのだと思う。
おそらく、彼らは、ただ相性がいいだけではなく、そうなれるように努力し続けてきたのではないかと思う。
私はというと、まだ老夫婦ではないが、妻としゃべりながらメニューを決めていた。
しかし、これほど楽しそうにしていたかどうか、自信はない。
私もこの老夫婦のようになれるよう、気をつけないといけないな、と思った。