外国人と出張したある1日(1)
先月の出張を思い返していた。
12月のとある日、ヨーロッパからやってきた外国人と出張だった。
その日は、午前と午後、1件ずつ、顧客との打ち合わせがあった。
午前は横浜、午後は千葉エリアだ。
自分は技術者なので、別に営業が同行した。
朝から夜まで、嵐のような一日だった。
朝9時半に、横浜エリアのある駅に集合の予定だった。
自分は片田舎から向かうので、電車の本数が少ないせいもあり、どうしても早めに現地に着いてしまう。
まあ、出張で現地に早めに着くというのは、打ち合わせの準備をしたり、コーヒーを飲んだりできるので、悪くはない。
この日も新幹線で東京に着くまでは、何事もなかった。
さあ、東京で乗り換えよう、というときに、人身事故による遅延の放送があった。
横浜に向かうどの路線も遅延しており、どの路線がマシなのかわからない。
集合時間に間に合うかどうかはわからないが、とりあえず、路線検索した結果に従って、現地に向かう電車に乗った。
スマホで遅延情報を確認しても、自分が現地に時間通りに着くかどうかは教えてくれない。
人身事故とはいえ、予定が狂うというのは、結構なストレスだ。
特に、顧客と会う約束があるときはなおさらだ。
こういうとき、自分は相当焦る性格だ。
あれこれと、悪い事態ばかりを想像してしまう。
こういう性格はどうにかしたい、といつも思う。
想像したところで、事態が好転することはないのだから。
乗った電車は動いたと思いきや、途中で停まったり、次の駅に着いたと思ったらしばらく動かなかったり、を繰り返した。
周囲を見渡してみると、乗客は多かったが、みな平然とスマホを見ている。
誰も焦っている様子はない。
もしかして、この中で焦っているのは自分だけか?
と、ちょっと焦るのが馬鹿らしくなった。
それでも、なんとか目的の駅に、9時過ぎには着いた。
予定より30分遅れだ。
集合場所には誰もいない。
近くの店でコーヒーを飲んだ。
ちょうど窓から集合場所が見えるので、誰か来たらすぐに分かる。
9時20分になったら集合場所に行こう。
そう考えて、15分ほど、コーヒーをゆっくり楽しむ時間を過ごした。
あとで思えば、この15分が、この日で唯一の、ゆっくりとリラックスして過ごせた時間だった。